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大阪地方裁判所 昭和59年(ワ)6948号 判決

原告

間道子

ほか二名

被告

小西正

主文

被告は、原告間道子に対し、金一四四万一、四六三円およびうち金一三一万一、四六三円に対する昭和五八年六月二五日から支払済まで年五分の割合による金員を、原告間あをひに対し、金七二万〇、七三一円およびうち金六五万五、七三一円に対する前同日から支払済まで年五分の割合による金員を、原告間薫に対し、金七二万〇、七三一円およびうち金六五万五、七三一円に対する前同日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

原告らのその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを一〇分し、その九を原告らの負担とし、その一を被告の負担とする。

この判決は原告ら勝訴の部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

被告は、原告間道子に対し、金一、八〇三万五、〇〇〇円およびうち金一、七二八万五、〇〇〇円に対する昭和五八年六月二五日から支払済まで年五分の割合による金員を、原告間あをひ、同間薫に対し、各金九〇一万七、五〇〇円およびうち金八六四万二、五〇〇円に対する前同日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

仮執行の宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

原告らの請求を棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

第二請求原因

一  事故の発生

1  日時 昭和五八年六月一六日午後一〇時四五分頃

2  場所 兵庫県三田市嶋ケ谷二一五〇番地先交差点

3  加害車 普通乗用自動車(神戸五七と八七一〇号)

右運転者 被告

4  被害車 普通乗用自動車(泉五五か二二二四号・以下被告車という)

運転中の訴外亡間好雄(以下訴外好雄という)

5  態様 訴外好雄は被害車を運転して信号機の設置されている交差点を東から西へ向け進行中被告は加害車を運転し、南北道路を北進して本件交差点に至り、被害車と加害車は出会いがしらに衝突

二  責任原因

1  運行供用者責任(自賠法三条)

被告は、加害車を所有し、自己のために運行の用に供していた。

2  一般不法行為責任(民法七〇九条)

被告は、加害車を運転するに際しては酒酔い運転をしてはいけない注意義務があり、また指定制限速度を遵守するのはもとより、本件交差点を通過するには一旦停止し、前側方に注視して進行しなければならない注意義務があるのに、これを怠り、酒に酔い、また、前側方不注視のまま、一旦停止もせず、制限速度を時速約二〇キロメートル超える時速約六〇キロメートルで慢然進行した過失により、本件事故を発生させた。

三  損害

1  受傷、治療経過等

(一) 受傷

全身打撲、頭部外傷、頸椎捻挫、胸部打撲

(二) 治療経過

入院

昭和五八年六月一六日から同月二五日まで

通院

昭和五八年六月二〇日のみ松森病院

(三) 死亡

訴外好雄は急性心不全により昭和五八年六月二五日午前一一時四七分高田外科病院で死亡した。

2  治療関係費

(一) 治療費及び解剖費 六二万五、二二五円

内訳

高田外科病院分 五三万〇、八〇〇円

松森病院分 三万九、四二五円

解剖費 五万五、〇〇〇円

(二) 入院雑費 一万九、五五〇円

(三) 診断書文書料 二万四、〇〇〇円

(四) 交通費 一万八、四五〇円

3  葬儀費 八五万六、五六五円

4  死亡による逸失利益

訴外好雄は事故当時五九歳で、日本交通(株)に勤務し、一か年平均二九三万四、五七七円の収入(昭和五七年度所得)を得ていたものであるところ、同人の就労可能年数は死亡時から八年、生活費は収入の三〇%と考えられるから、同人の死亡による逸失利益を年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、一、三五三万五、一四九円となる。

5  慰藉料 二、〇〇〇万円

6  弁護士費用 一五〇万円

四  損害の填補

原告らは自賠責保険金より七二万三、一九七円の支払を受けた。

五  権利の承継

訴外好雄の死亡により、その妻である原告間道子(以下原告道子という)、その子供である原告間薫(以下原告薫という)及び原告間あをひ(以下原告あをひという)がそれぞれ法定相続分に応じて訴外好雄の被告に対する損害賠償請求権を相続した。

六  本訴請求

よつて請求の趣旨記載のとおりの判決(遅延損害金は民法所定の年五分の割合による。ただし弁護士費用に対する遅延損害金は請求しない。)を求める。

第三請求原因に対する被告の答弁

一の事実は認める。

二の1に認める。

二の2は争う。

三の事実中1(三)は認めその余は不知。

四は認める。

五は不知。

第四被告の主張

一  過失相殺

訴外好雄は、本件交差点を進行するに際しては、対面信号が赤点滅を表示していたのであるから一旦停止し、左右の安全を確認したうえで進行すべき注意義務があるのに、これを怠り、時速約六〇キロメートルの速度で慢然と進行した過失がある。訴外好雄の損害賠償額を算定するにあたり相当の過失相殺がなされるべきである。

二  損害の填補

本件事故による損害については、原告が自認している分以外に、被告より香典名下に金一〇万円の損害の填補がなされている。

第五被告の主張に対する原告らの答弁

一の事実は争う。

第六証拠

記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおり。

理由

第一事故の発生

請求原因一の事実は、当事者間に争いがない。

第二責任原因

運行供用者責任

請求原因二の1の事実は、当事者間に争いがない。従つて、被告は、民法七〇九条につき判断するまでもなく、自賠法三条により、本件事故による訴外好雄の損害を賠償する責任がある。

第三損害

1  受傷、治療経過等

成立に争いのない甲第二ないし第四号証によれば、請求原因三1(一)(二)の事実が認められ、また、同三1(三)の事実は当事者間に争いがない。

2  死亡との因果関係

(一)  成立に争いのない甲第二、第四、第五号証、第七、第八号証、第一七号証の一ないし四、第一八ないし第二〇号証、第二三号証の一、二、乙第七号証の一、二、第八、第一二号証、第二三ないし第二五号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第六号証、原告道子本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を総合すると

1 訴外好雄は、居住していた大阪市生野区に所在する杉本医院において、昭和五〇年四月八日に慢性胃炎、糖尿病(血糖値一二〇ないし一四〇)の診断を、昭和五一年九月二二日に狭心症の診断をそれぞれ受け、昭和五六年度で実日数四五日の診療を受けたが、その際の治療内容は、ビタミン剤などの注射とともに、内服薬として、冠血管拡張剤(ワソヲン、ペルサンチン)、不整脈(アンジトン)、動脈硬化剤(アモトリール)、強心剤(ジヤストE)、精神神経用剤(ジアゼバム)などが投与され、精密検査も、年に一度の検尿、心電図、年に二度の検血がなされ、昭和五七年度でも実日数四八日の治療内容は前年度と同様であつて、心電図検査は年に一度、検尿検査は年に四度、検血は年に五度の精密検査がなされていたこと、昭和五八年度は本件事故までに実日数二九日の診療がなされたが、治療内容は前年度と同様であつたものの本人の希望もあつて、また、糖尿病は口が乾くという自覚症状はあつたが、狭心症については自覚症状がなく病状安定傾向にあつたため諸検査は実施されず、血圧も最高血圧一六〇ないし一四〇mmHg、最低血圧九〇ないし七〇mmHgと安定していた。

2 訴外好雄は、昭和五〇年より勤務していた日本交通(株)東住吉営業所での勤務も、昭和五七年一一月に腰痛から約二週間休暇をとつた以外は平均的運転手として勤務し、昭和五八年度も、病状安定傾向にあつたことから昭和五八年三月度では二二日、同年四月度では二四日、同年五月度では二三日それぞれタクシー運転手として昼勤、夜勤の各勤務をこなし、同年六月一四日は午前七時に出勤、同月一五日午前二時に勤務明け、同月一六日も早朝の午前四時すぎから運転手として勤務し、事故発生までに三七八キロメートル走行していた。

3 訴外好雄は、昭和五八年六月一六日午後一〇時四五分頃本件事故に遭い、頭部外傷、胸部打撲、頸椎捻挫、全身打撲の傷害を受けて高田外科において入院治療を受けたが、訴外好雄の訴えでは、本件事故の際自車ハンドル部で胸部を強打し、右胸部に重苦しい痛みと頸部痛を訴え、また、嘔気も訴えており、同年六月一七日には全身痛を訴えていたが、同月一八日には全体的に楽となり、軽快してきたところから、同月二六日には退院予定となつていたところ、同月二五日午前九時に胸痛発作、胸内苦悶感が出現し、急性心筋梗塞症と診断され、救急処置がなされたものの、同日午前一一時四七分、気性心筋梗塞を原因とする急性心不全により死亡した。

4 訴外好雄の死亡後の解剖所見では、訴外好雄の心臓には、右心室と左心房には異常がなかつたものの、右心房には大円孔閉鎖がみられ、左心室には、瘢痕がみられ、中隔壁から心炎の瘢痕が八センチメートル×六センチメートルの範囲で認められるなど、総じて、約一〇年ほど前に発症したと考えられる陳旧性の心筋梗塞が左心室の四分の三にわたつてみられ、死亡前一〇日ほど前に発症したと考えられる新しい心筋梗塞が左心室の四分の一にわたつてみられ、新しい心筋梗塞の発症が進行して急性心不全をおこし、死亡するに至つたことが認められ、心筋梗塞の発症原因が、動脈硬化症という素因に加えて本件交通事故によるストレスが因子となつたものと考えられるところから、神戸大学医学部病理学教室の公式見解では、本件事故と訴外好雄の死亡との間には因果関係が認められるとの結論が導びかれている。ところが、解剖を行なつた武田教授の見解では、訴外好雄の新しい心筋梗塞と本件事故との間には、はつきりとした関連はみられない、という結論であつた。以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

(二)  右事実によれば、一般に心筋梗塞の発生原因の一つにストレスも含まれるものと考えられるところ、訴外好雄は昭和五〇年ごろから糖尿病を患い、昭和五一年九月ごろには心筋梗塞により左心室の四分の三の機能が停止していたところへ、本件事故により自車ハンドルで胸部を強打し、右胸部に重苦しい痛みと頸部痛を訴え、嘔気も訴えるなど本件事故によるストレスが相当程度存していたことが推認され、訴外好雄の新しい心筋梗塞の発症時期が本件事故発生時ごろと一致していることをも考え合わせると、本件事故と訴外好雄の死亡との間には因果関係があるものというべきである。

しかしながら、右事実によれば、遅くとも昭和五一年九月以降、訴外好雄には糖尿病を遠因とする動脈硬化があり、かつ、右の動脈硬化により左心室の四分の三の機能が停止しているという陳旧性の心筋梗塞に基づく既応症がみられ、日常生活においては、狭心症に対する投薬治療の効果もあつて、健康人と同様の活動をしていたことを考え合わせても、訴外好雄の右の如き既応症がなければ本件事故により死亡することもなかつたことも認められる本件では訴外好雄の死亡という結果に対し本件事故が一〇〇%寄与したものとはいえず、本件事故による寄与をみると、医学上は、本件事故が訴外好雄の左心室の四分の一の機能停止をもたらし、しかも、事故によるストレスを介してのみ心筋梗塞に寄与しているというのであるから、ここにおいても心筋梗塞を惹起し易い訴外好雄の体質的素因を考慮しなければならない結果、本件事故の訴外好雄の死亡に対する寄与は八分の一を超えることはないものといいうるものの、因果関係の判断は、純粋に医学的判断のみでこれを考慮すべきものではなく、医学的判断を前提としながらも社会通念を通して考慮すべききわめて法律的判断を要する事項であつて、そうすると、訴外好雄は本件事故以前には健康人と同様の社会生活を営んでいたことも考慮せざるを得ず、この点のみを考慮すれば本件事故の訴外好雄の死亡に対する寄与は二分の一を下ることはないものといいうることなど右の如き諸事情を総合考慮すれば、本件事故の訴外好雄の死亡に対する寄与は、少なくとも三割程度であつたものというべきである。

3 治療関係費

(一)  治療費

成立に争いのない甲第七、第八号証、第九号証の二、三によれば、訴外好雄の本件事故による受傷治療のため、高田外科において五三万〇、八〇〇円松森病院において三万九、四二五円の治療費を、神戸大学医学部において四万五、〇〇〇円の病理解剖料をそれぞれ要したことが認められる。右金額を超える分については、本件事故と相当因果関係がないと認める。

また、成立に争いのない甲第九号証の四によれば、高田外科に対し診断書料として二万四、〇〇〇円を要したことが認められる。

(二)  入院雑費

訴外好雄が一〇日間入院したことは、前記のとおりであり、右入院期間中一日一、〇〇〇円の割合による合計一万円の入院雑費を要したことは、経験則上これを認めることができる。右金額を超える分については、本件事故と相当因果関係がないと認める。

(三)  交通費

原告提出の甲第一〇号証の一ないし三六は、原告らより請求しうる交通費とは認められず、全証拠によるも原告ら主張の交通費を認めるに足る証拠がない。

4 葬儀費

弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第一二号証の一ないし八、第一二号証の一一、一二によれば訴外好雄の葬儀の執行のため七〇万円以上の葬儀費を要したことが認められるものの、本件事故による葬儀費としては七〇万円の範囲内で相当因果関係があると認める。

5 死亡による逸失利益

成立に争いのない甲第一三号証の一、二、第一四号証の一、二、第一五、第一六号証及び弁論の全趣旨によれば、訴外好雄は、事故当時五九歳で、日本交通(株)に勤務し、一か年平均二九三万四、五七七円の収入(事故前一年間の収入)を得ていたことが認められるところ、同人の就労可能年数は死亡時から八年、生活費は収入の三〇%と考えられるから、同人の死亡による逸失利益を年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、一、三五三万五、一四九円(円未満切捨て)となる。

6 慰藉料

本件事故の態様、訴外好雄の傷害の部位、程度、治療の経過、死亡の事実その他諸般の事情を考えあわせると、訴外好雄の慰藉料額は一、三〇〇万円とするのが相当であると認められる。

第四過失相殺

(一)  成立に争いのない乙第一ないし第三号証、第四号証の一ないし五、第五、第六、第一三号証、第一四号証の一、二、第二一号証、被告本人尋問の結果によれば

1  本件事故現場は、別紙図面の如く、北東から南西へ通ずる道路と西北から東南へ通ずる道路とが交差した信号機により交通整理の行なわれている交差点であつて、信号機は定周期自動信号機ではあるが、午後一〇時から翌朝午前六時までの間は点滅信号となつており、北東より南西へ通ずる道路の対面信号は黄点滅、西北より東南へ通ずる道路の対面信号は赤点滅となつていた。

2  被告は、P・T・Aの会合のあとビール三本位を飲んでの帰途、加害車を時速約五〇キロメートル(制限速度時速五〇キロメートル)の速度で、小雨の降るなか、北東より南西へ通ずる道路を南西方面へ向けて走行し、本件交差点を通過しようとした際、対面信号が黄色の点滅を表示していることを確認し、交差点内に危険を感じなかつたことから、そのままの速度で進行していたところ、交差点内に被害者の照明燈を認めて危険を感じるのとほぼ同時に被害者と別紙図面〈2〉で衝突し、約一二メートル進行した別紙図面〈3〉で停止した。なお、事故後の呼気検知では被告に呼気一リツトル中〇・四五ミリグラムの測定濃度のアルコールが検出された。

3  訴外好雄は、乗客を三田市に降し、大阪へ向つて西北より東南へ通ずる道路を東南方面へ向け進行中、本件交差点対面信号が赤色の点滅信号を表示していたのに、後記4で認定する被害車の車両損傷部位、程度、停止状況から一旦停止をすることなく本件交差点へ進入したことが推認され、別紙図面〈ア〉の地点で加害車と衝突し、別紙図面〈イ〉の地点で車首を西北方向へ向けて停止した。

4  加害車は右前フエンダー、右前ドアーが凹損し、右後フエンダーも凹損しており、前面ガラスは飛散していた。また、被害車は前部車体が大破し、ボンネツトがめくれ、左後ドアーも凹損してそのガラスが飛散していた。

以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

(二)  右事実によれば、被告は、酒気帯び運転中右方から本件交差点へ進行してくる車両が、右側の山地に拒まれて見通しがつきにくい本件交差点を通過しようとしたのであるから、減速徐行して本件交差点を進行すべき注意義務があるのに、これを怠り、対面信号が黄色の点滅を表示し、交差点内での危険を感じなかつたことから、漫然と時速約五〇キロメートルのまま本件交差点を進行しようとした過失により、本件事故を発生させたことが認められるのに対し、訴外好雄にも、小雨の降る見通しの悪い交差点内で、対面信号が赤色の点滅信号を表示していたのであるから、本件交差点手前で一旦停止し、交差点内での安全を確認したうえで進行すべき注意義務があるのに、これを怠り、漫然と本件交差点を通過しようとした過失により、被害車前部を加害車右前フエンダー及びドアー部に衝突させたのであるから、訴外好雄にも、一旦停止義務違反、安全運転義務違反の過失が認められ、被告の過失の態様、酒気帯び運転であつたこと、本件交差点内の道路状況等諸般の事情を考慮すると、過失相殺として訴外好雄の損害の六割を減ずるのが相当と認められる。

第五損害の填補

請求原因四の事実は、当事者間に争いがない。また、被告主張二の事実は原告らにおいて明らかに争わないから自白したものとみなす。しかしながら、被告より原告らに支払われた香典名下の一〇万円は、社会通念上、香典として相当な金員の範囲内であると認められるから、これを損害の填補とするのは相当でない。

よつて、訴外好雄の総損害額二、七八八万四、三七四円のうち、本件事故と因果関係にある三割相当の八三六万五、三一二円(円未満切捨て・以下同じ)から過失相殺により六割を控除した三三四万六、一二四円を請求しうるところ、右填補分七二万三、一九七円を差引くと残損害額は二六二万二、九二七円となる。

第六弁護士費用

本件事案の内容、審理経過、認容額等に照すと、原告らが被告に対して本件事故による損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は合計二六万円とするのが相当であると認められる。

第七権利の承継

成立に争いのない甲第二一、第二二号証によれば、請求原因五の事実が認められる。

そうすると、原告道子は訴外好雄の請求しうる金員のうち二分の一に相当する一三一万一、四六三円、原告あをひ、同薫はそれぞれ訴外好雄の請求しうる金員のうち四分の一に相当する各六五万五、七三一円を請求することができることとなる。

第八結論

よつて被告は原告道子に対し、一四四万一、四六三円、およびうち弁護士費用を除く一三一万一、四六三円に対する本件不法行為の後である昭和五八年六月二五日から支払済まで年五分の割合による遅延損害金を、原告あをひ、同薫に対し各七二万〇、七三一円、およびうち弁護士費用を除く六五万五、七三一円に対する前同日から支払済まで年五分の割合による遅延損害金をそれぞれ支払う義務があり、原告らの本訴請求は右の限度で正当であるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 坂井良和)

別紙図面

〈省略〉

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